「光と月が出逢う場所で」
十三年と言う刻を越えて、再び出会う月と光。
カメラはフィルムからデジタルに変わってしまったのだけれど、それ以外の何もかも、あのころのままだ。
静かな空間に、六本のスチール弦から生まれる感動が響き渡っている。僕はX100Fの光学式ファインダーにただ、その姿をとらえ、千回のシャッターを切った。
千枚の想い出はまた、新しい刻をきっと、語り尽くして行くだろう。
十三年後に僕は、どこでなにをしているだろうか。もしもデジタルカメラがなくなる日が来ていたとしても、あの頃のキヲクだけはこの、瞳と心の中から消えることはないだろう。
世界はつながって行く。ただ、前へ向いて、前を向いて、前に歩いて行きさえすれば、すべての出来事はやがて一つになり、そして未来を育んでいくだろう。
僕が僕らしく、あり続けるために。
今日を美しく、そして逞しく。
そしてあの月の光のように、旅立ちの日を、その優しさで包んで。